ゲイひとり大地を行く

50歳ゲイのひとりごと。19年間の社会不安障害との闘いを乗り越え、現在はより良い人生を求め日々模索中。

4年前の今日

いま会いたい人......それは

緊急事態宣言発令中のため、うちの家業も4月21日から休業していますが、5月16日から再開することになりました。

こんなに長く休んだ経験がないし、いつ再開できるのかわからなかったので不安で仕方がありませんでしたが、再開の日が決定したことで気持ちがとても楽になりました。

再開が決まってホッとしてお茶を飲みながらくつろいでいる時に、何気なくスマホのアルバムを開いてみたんです。すると"4年前の今日の出来事"として、2016年5月10日に撮影した1枚の写真が一番上に出てきました。父がストレッチャーに横たわり車(ストレッチャーごと乗せられる介護送迎専用車)に乗せられている時の写真でした。

あ~、今日だったんだぁ...........

母と兄にそのことを話して3人で4年前の今日の思い出話を少ししました。

末期の膀胱癌で肝臓と骨にも転移していた父は毎日毎日病院のベッドで「家に帰りたい」と言っていました。痛くて起き上がることも出来ないのに一生懸命起き上がろうとして「さぁ帰るぞ」とか「車をここまで持ってきてくれ」と言うのが日課でした。主治医に1日だけでも帰宅させることが可能か尋ねると危険すぎるということで認めてはくれませんでした。

それから数日してからでしょうか。その主治医の先生、とても熱血タイプでとても信頼のおける医師(その病院では断トツ人気の有名な先生)だったのですが、僕ら家族の気持ちを無視することなく僕ら家族には内緒で病院側と父の外出についてきちんと協議してくれて、次の3つの条件で外出許可という返答を頂きました。

①外出は4時間だけ
②ストレッチャーごと乗せられる車を自分で用意できること
③看護師が1人付き添うことを看護部長が許可してくれること

父の「家に帰りたい」という思いをわずかな時間でも叶えられる可能性が出来て心の底から嬉しかったです。

ストレッチャーが乗る車。最初は戸惑いました。自分で用意して下さいと言われても、どうしたらいいのか........すると病院側から介護送迎を行っている会社を紹介されました。そしてそのことを知人に話すと、なんとその介護送迎をしている会社の社長さんを直々に知っているとのことですぐに手配をしてくれました。そして更に驚いたことに、偶然にもその社長さんは父の大学のアイスホッケー部の後輩。父より20歳位後輩なので父との面識は全くない方でしたが、まさに体育会系育ちで「先輩のためです。私に任せて下さい!」と力強く言ってくださいました。本当にいい方でした。

③の看護師1人が付き添いというのがクリアできるかが一番心配でした。と言うのも、これまで看護師が付きそった外出許可はその病院では前例がないとのことで、看護部長が許可してくれるかわからなかったからです。しかし、これも無事にクリアしました。後で別の看護師さんに聞いたところ、S先生(主治医)に対する絶大な信頼があるからこそ実現したとのことです。

そして、2016年5月10日、念願の父の一時帰宅が叶ったのです。

うちにいられたのは2時間程度でした。父の大好きな水羊羹を用意しましたが、それを口にすることはありませんでした。家族と親戚の叔父・叔母でストレッチャーに寝た父を囲んで沢山話をしました。父はただ黙って話を聞くだけで「うん」とか「あー」ぐらいしか言いませんでした。病院への帰路の途中、「楽しかった?」と聞いたら「疲れた」と言っていました。

次の日病院へ行くと、看護師さんから「お父さん、すごく喜んでましたよ~。うちに帰れて嬉しかった~って何度も言ってましたよ」と聞きました。僕らには「疲れた」とだけしか言わなかったのに.......でもそれを聞いてわずか2時間程度だけど帰宅させることができて、先生に無理を承知で頼んでみて本当に良かったと思いました。

そして、それから6日後の2016年5月16日、父は旅立ちました。

コロナ禍で休業中ですが、店の再開を決めたのが今日5月10日。
4年前の今日、父が一時帰宅した日。

店を再開する日は5月16日。
4年前の5月16日、父が天国へ旅立った日。

甥っ子は、「何でもかんでもじーちゃんに結びつけるんだから」と笑うけれど
息子の僕としては何か運命を感じました。

はてなブログの現在のお題が「いま会いたい人は誰?」

 

僕がいま会いたい人

それはお父さん

僕にとってたったひとりの永遠に76歳のお父さん

今頃天国で何してるのかな........

今、"お父さん"とタイピングしたら急に涙が溢れ出てきてしまいました.........

この2年ぐらいは涙を流すことなく父のことを考えられるようになったのに、今日はちょっと涙腺がゆるいようです。

涙を流したら、

コロナ禍なんかに絶対負けない!

中小企業経営者側の人間として

そう決意が固まりました。

では、また~










 

 

 

 

今週のお題「会いたい人」