ゲイひとり大地を行く

50歳ゲイのひとりごと。19年間の社会不安障害との闘いを乗り越え、現在はより良い人生を求め日々模索中。

現在・過去・未来

母がいきなり「もう18年になるんだよ」と言い出すので何のことかと思ったら、僕が日本に完全帰国してから18年ということだそうです。

ん~、確かに18年。

2001年8月8日に僕は8年間の米国生活を終えて日本に完全帰国し、その約1か月後の9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が発生しました。僕としては「あれっ?同じ年に起きたんだっけ?」ぐらいの記憶なのですが、母の中ではその事が強く印象に残っているらしく、ニュースなどでテロの追悼の模様を見ると僕が日本に帰って来て何年ということを必ず考えるのだそうです。

ひとことで18年と言いますけど、僕の甥っ子が誕生したのも2001年で今や彼も大学1年生ですから随分と月日が流れたことを感じます。

この18年の自分自身を振り返ると、20代、30代、40代と来て様々な事に対する価値観や考え方がかなり変わったなと思います。でも何といっても一番の変化は、社会不安障害という苦悩の日々から解放されたことです。

障害がピークを迎えた1993年に逃げるように日本を脱出しアメリカで生活を始めたことでいくらか状態は良くなったけれど、2001年に帰国してから逆カルチャーショックでストレスが重なったことで障害が再び悪化し、ピーク時ほどではないものの相当苦しみました。

ほんとに些細なことも怖くてできないのですよ。電車に乗れない、買い物でレジに並べない、電話をかけられない/受けられない、人前で字を書けない、人と話すと全身汗だくになる、おしっこする時に後ろに並ばれるとおしっこが出なくなる.......などなど。 一番厄介なのはこれらの症状が毎回出るとは限らないということです。全く恐怖を感じないで出来る時もあり安心しきっていると、ある日突然また出来なくなる。また突然出来るようになり、また出来なくなる。もうその繰り返しです。ですから完全な終わりが見えなくて毎日何をするにしても恐怖でしかありません。

でも36歳の時に「あなたは立派な社会不安障害ですよ」と診断されたのを機に、ハイスピードで快方に向かいます。それまで自分はただの"キチガイ"だと思っていましたから、どうしてそういう症状が出るのかという明確な原因がわかり、たとえ電車が怖いと思っても「自分はキチガイじゃないんだ」と断定することができ気持ちが楽になっていきました。

また年齢を重ねたことも症状が回復するのに拍車をかけたと思います。例えば、若い頃であれば人目を異常なまでに意識しすぎて自分の外見を病的なまでに気にしていたけれど、今は40代。白髪やしわなんて誰にでもあるし、見た目だって変わるのは当然のこと。電車を怖いと思うどころか、電車に乗ったら1駅でも何が何でも座ろうとする図々しさまで出てきました。

障害で苦しかった時期は体に100トンの重りを背負わされ、目隠しをがんじがらめにしめられているような動きも取れず何も見えない状態だったけれど、今はそれもなくなり世界が良く見え、落ち着いて物事を考えることが出来ます。

僕の過去はあまりにも重すぎたから、これからは何でも軽やかでいたい。

現在は必要のない物をそぎ落として、大切な人や物をいつくしみ、できるだけシンプルに身軽に、つつましくありたいと思っています。

そしてこれからの未来は、いつまでも健康で若々しく、いつの日か一生を添い遂げることが出来る人に巡り合う。そんな夢を持っている今日この頃です。

では、また~