GAYひとり大地を行く

40代のゲイ雑記。19年間の社会不安障害との闘いを経て、バリバリのおひとりさまですが頑張って生きています。日々の暮らしで思ったこと、社会不安障害のこと、8年間の留学生活で学んだことなどを綴っていきます。

ゲイ友第1号と決別したこと~第13章

Mattです。

毎日生活してますと反省することばかりで、情けないとか呆れるとか、もはやそんな感情すらも起こりません。これまでの反省点を全て改善していたなら、今頃は相当立派な人間になっていたかもしれないですが、実際は"改善したつもり"で来てしまったので、今の自分があることも仕方のないことだと思います。と、思うような出来事があって、落ち込んでるというようりはもう大爆笑するしかない今日この頃です。

ダメダメ人間の自分に対する愚痴は置いといて、最終局面に差し掛かってきた「ゲイ友第1号と決別したこと」シリーズ第13章に行きたいと思います。

さて、1997年になり1号君と再び会うようになったわけですが、いつものように1号君のアパートへ呼ばれました。そして、玄関を開けると、そこには細身でスラッとした可愛らしい顔立ちのアメリカ人男性が立っていました。

ドキッとしました。誰?? もしかして1号君が言ってた2丁目で知り合ったという男性?? いや、1号君より10歳ぐらい年上と言っていたから違う人だろう。連絡はもう取れないと言っていたし........ じゃあ、誰?? まさか、1号君の彼氏?? 嘘だろ?? ブサイク糞野郎にこんな可愛らしい彼氏ができるなんてことあるのか?? もし彼氏だとしたら、このアメリカ人は何を血迷ったのか?? 僕は頭の中でそんなことを考えました。

その男性は、アメリカのフィギュアスケート選手アダム・リッポンそっくり。なんか声も仕草も似ている。もちろん、当時はアダム・リッポンの存在など知らないので、今思うと似ているなということですけど.......アダム・リッポンに似ているので、その男性をアダムということにしましょう。

似てる....... ひげは生やしてなくツルンとしていて、髪は長めのbuzzcut (坊主頭) 

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アパートの玄関を開けるなり、

「紹介したい人がいるのよ~。こちらアダムよ」と紹介されました。

僕とアダムは握手を交わし、簡単な自己紹介を済ませました。彼はとても優しい女性的な語り口と柔らかい物腰。僕は、「あっ、自分と一緒だ!」と親近感がわきました。ゲイであると説明しなくても、彼がゲイであるということは一発でわかりました。向こうも僕に会った瞬間にわかったと思います。

そして、1号君が「今、一緒に住んでるのよ~」という衝撃の言葉を発しました。

はっ? 一緒に住んでる? どーゆーこと??

"一緒に住んでる"と言われ, 僕の脳ミソは混乱しました。

なんでこんな粗チン野郎に(粗チンかどうかは知らないけど)こんな綺麗なお顔の彼氏がいるんだよっ!と心の中でムカッと来ました。しかし、彼らが彼氏同士であるというのは僕の早とちりでした。

どうしてアダムが1号君のアパートに住んでいるのかという経緯は書くと長くなるので省略しますが、簡単に言うと、ある人から頼まれて1号君がアダムの居候を引き受けたとのことでした。そのある人から僕も実際に話を聞いたので、それは本当のことでした。

アダムは19歳のゲイで、シアトルの南方の街にある実家を家出し、家なし、職なし、金なしの状態でした。

僕達3人は頻繁に食事に出かけたりしました。アダムはお金がないので、いつもアダムの分は1号君が払っていました。1号君のアパートでおしゃべりなどもしました。でも、気が付くと僕とアダムだけが話をして、1号君が入れないということが多々ありました。1号君の英語が依然として上達していなかったのです。そういう時は1号君は不機嫌な顔をしていました。それを僕は面白がってわざとアダムとだけ会話をするという幼稚な仕打ちを1号君に何度もしました。それは1号君の怒りがアダムに向けられることなど考えもせずにとってしまった自己中心的な行動でした。

ある時から、アダムが僕に話しかけるのを遠慮しているように感じました。1号君に2人だけで会話をするなと言われたようです。僕もそれを察知して、アダムに話しかけるのを遠慮するようになっていきました。そうしているうちに、お互い言葉をかけることさえ気まずいような雰囲気になっていきました。


そんな状態のある夜、1号君がアダムにかなりご立腹で、「Matt、 今からあたくしが言う事通訳してこの人に言ってちょうだい! 説教しなくちゃわからないんだよ!!」と僕に言うのです。僕は1号君と付き合うためには自分の心も悪魔にしなくてはやっていけないと決意していながらも、1号君の圧倒的で異様な雰囲気に飲み込まれ、断ることもできず、しぶしぶ1号君の怒りに満ちた言葉を英語に訳しながらアダムに伝えました。

「感謝の気持ちが足りないんだよ、感謝の気持ちが!!!」

「住まわせてもらっている。ごはんを食べさせてもらっている。わかってんのか!!」

「居候の身で自分勝手なんだよ!!」

「誰のお陰でこうしていられるんだっ!!」

1号君は怒りに満ちた表情でアダムに対する愚痴を言い始めました。僕は優しい口調でそれを英語にしてアダムに伝えました。アダムは当然日本語がわかりませんが、1号君の表情や言葉のトーンなどから、彼が相当怒っていることはわかっていたようで、とても神妙な表情で僕が言うことを静かに聞いていました。僕は通訳しているだけでしたが、あたかも僕が説教しているようでとても嫌でした。しばらくアダムとも会話をしていない期間が続いていた時に、久しぶりの会話が説教だったことが僕にとってはとてもつらいことでした。

毎日毎日、1号君にグジクジ何か言われてるのかな? ST君の場合は自分のアパートがあったけれど、アダムは1号君と一緒に住んでいる。お金がない、逃げる場所がない。大丈夫かな.....とても心配でした。ただ、ST君の時のように全裸にさせられ両手を縛られ口にガムテープということはないであろうということはわかったし、アダムは1号君に屈するほど弱くないということもわかっていたので、ただただアダムが早く職を見つけて自分自身の住まいを見つけてくれることを願うばかりでした。

そしてある日、このシリーズにも何度か登場している僕の日本人ゲイ友であり3つ年下ではあるけれどゲイとしては大先輩のデコちゃんから電話がありました。

Mattさ~ん、何してるの~? 今日、一緒にご飯食べません?」

デコちゃんと待ち合わせの場所へ行くと、なんとデコちゃんの横にはアダムが立っていました。今まで、僕とアダムはお互いが話づらくて遠慮していたのに、顔を合わせた瞬間はしゃぎ合いました。デコちゃんとアダムはゲイバーで知り合いになり、1号君のことも知っているデコちゃんがアダムの相談役になっていたとのこと。

僕:知り合いだってこと早く言ってくれれば良かったのに~

デコ:だってMattさん、卒業が近いから忙しいと思って~

僕はアダムに1号君にひどいことをされていないか尋ねました。暴力もないし、特にひどいことはされていないが、いつも冷たい表情で怒っているようでつらいと言っていました。早く仕事を見つけてお金を貯めて1号君のアパートを出ていきたいと言っていました。1号君もアダムもゲイ。まさかSEXしてないよねって聞いたところ、添い寝を強要すると言っていました。"うわっ、気持ちわるっ、あんな男のそばで添い寝なんて"と僕は震えあがりました。アダムは1号君を怒らせて追い出されたらと思うと不安になり、添い寝だけならと思って1号君に従っていると言っていました。僕もデコちゃんも貧乏学生。1号君のように、アダムに部屋を提供しごはんを食べさせたりしてあげられるほど余裕はありません。ただ、見守ることしかできませんでした。

そして、そうこうしているうちに1997年3月、僕はシアトルの短期大学を卒業。ハワイ大学編入合格の知らせを受け、シアトルを完全に離れる日がとうとうやってきてしまいました。

1997年5月、アパートを引き払い、お世話になった人や友人に挨拶を済ませ、ハワイ大学新学期が始まる8月まで日本で過ごすため、一時帰国しました。

語学学校時代やシアトルでの数々の思い出を胸に、シアトル・タコマ国際空港発成田行きのノースウェスト航空に搭乗しました。まだその時は、ホノルルに移ってからあっと言う間に男性初体験をすること、そして何より1号君に絶縁状を突き付けることになることなど想像すらしていませんでした。

つづく

では、また~